2006年01月16日

JIS規格 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 JIS H 4000:1999/適用規格・種類・記号・機械的性質・試験・寸法・特性など

長井技研ホームページの更新情報 。

資料館』にJISに規定される非鉄金属の種類・特性・用語 などについて、JIS規格本文の内容を抜粋してまとめました。
今回追加した内容は、

アルミニウム及びアルミニウム合金

ということで、以下のJIS規格本体の内容をまとめています。


JIS H 4000:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
Aluminium and aluminium alloy sheets and plates, strips and coiled sheets

資料館』 の 『2.JISに規定される非鉄金属の種類・特性・用語など』 のコンテンツとして追加しています。
こちらのリンクからどうぞ。

資料館

2.JISに規定される非鉄金属の種類・特性・用語など

JIS H 4000:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
Aluminium and aluminium alloy sheets and plates, strips and coiled sheets

JIS規格 『JIS H 4000:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条』 本文では、アルミニウム及びアルミニウム合金の板、合せ板、条及び円板における、適用規格・種類・記号・試験・機械的特性・性質 などについて規定されています。

詳しくはこちらのJIS規格、 『JIS H 4000:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条』 からどうぞ。

JIS規格に規定されるアルミニウム及びアルミニウム合金の中で、板金加工で最も一般的に使われるアルミニウム合金は、A5052Pです。

A5052Pは、JIS規格本文にある通り、中程度の強度をもった代表的な合金で、耐食性、成形性、溶接性がよいという特性をもったアルミニウム合金です。

用途例としては、船舶・車両・建築用材、飲料缶などが一般的に広く使われますが、弊社の板金加工では、二足歩行ロボットパーツなどの板金用にも良く使われます。
よろしければこちらもご参考に。

>> 板金加工・精密板金の材料
>> 材料の豆知識

その他、アルミニウム合金について詳しくは、 JIS H 4000:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条』 をご覧下さい。

尚以下に、JIS規格、 『JIS H 4000:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条』 の内容について、見出しなど概略内容を転載しておきます。


JIS規格 JIS H 4000:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条


1.適用規格

この規格は、圧延したアルミニウム及びアルミニウム合金の板、合せ板、条及び円板について規定する。


2.引用規格

次に揚げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版を適用する。

JIS H 0001 アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金-質別記号
JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則
JIS H 1305 アルミニウム及びアルミニウム合金の光電測光法による発光分光分析方法
JIS H 1306 アルミニウム及びアルミニウム合金の原子吸光分析方法
JIS H 1307 アルミニウム及びアルミニウム合金の誘導結合プラズマ発光分光分析方法
JIS H 1352 アルミニウム及びアルミニウム合金中のけい素定量方法
JIS H 1353 アルミニウム及びアルミニウム合金中の鉄定量方法
JIS H 1354 アルミニウム及びアルミニウム合金中の銅定量方法
JIS H 1355 アルミニウム及びアルミニウム合金中のマンガン定量方法
JIS H 1356 アルミニウム及びアルミニウム合金中の亜鉛定量方法
JIS H 1357 アルミニウム及びアルミニウム合金中のマグネシウム定量方法
JIS H 1358 アルミニウム及びアルミニウム合金中のクロム定量方法
JIS H 1359 アルミニウム及びアルミニウム合金中のチタン定量方法
JIS H 1362 アルミニウム及びアルミニウム合金中のバナジウム定量方法
JIS H 1363 アルミニウム合金中のジルコニウム定量方法
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 2204 金属材料曲げ試験片
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2248 金属材料曲げ試験方法


3.定義

この規格で用いる主な用語の定義は、次による。

a) 合せ板
心材(基となる板)の表面に皮材(異なった種類の合金の薄板)を圧接などの方法によって全面にはり合わせた板をいう。

b) 板
厚さが0.15mm以上、断面が長方形の圧延材。通常は、スリット切断、シャー切断又はソー切断された直線形状の板をいう。
備考:厚板は、板のうち6mmを超えるものとし、この規格の中でいう板は、厚板を含むことがある。

c) 条
厚さが0.15mm以上、断面が長方形の圧延材。通常は、スリット切断されたコイル形状の板をいう。

d) 円板
板又は条を通常はプレス切断又はシャー切断したもので、円形状の板をいう。


4. 種類、等級及び記号

種類、等級及び記号は、表1による。(以下)
表1 種類、等級及び記号

A1085P、A1080P、A1070P、A1050P:
純アルミニウムのため強度は低いが、成形性、溶接性、耐食性がよい。反射板、照明器具、装飾品、化学工業用タンク、導電材など。

A1100P、A1100P:
強度は比較的低いが、成形性、溶接性、耐食性がよい。

A1N00P:
1100より若干強度が高く、成形性も優れる。日用品など。

A1N30P:
展延性、耐食性がよい。アルミニウムはく地など。

A2014P、A2014PC:
強度が高い熱処理合金である。合せ板は、表面に 6003 をはり合わせ耐食性を改善したものである。航空機用材、各種構造材など。

A2017P:
熱処理合金で強度が高く、切削加工性もよい。航空機用材、各種構造材など。

A2219P:
強度が高く、耐熱性、溶接性もよい。航空宇宙機器など。

A2024P、A2024PC:
2017 より強度が高く、切削加工性もよい。合せ板は、表面に 1230 をはり合わせ、耐食性を改善したものである。航空機用材、各種構造材など。

A3003P、A3203P:
1100 より若干強度が高く、成形性、溶接性、耐食性もよい。一般器物、建築用材、船舶用材、フィン材、各種容器など。

A3004P、A3104P:
3003 より強度が高く、成形性に優れ、耐食性もよい。飲料缶、屋根板、ドアパネル材、カラーアルミ、電球口金など。

A3005P:
3003 より強度が高く、耐食性もよい。建築用材、カラーアルミなど。

A3105P:
3003 より若干強度が高く、成形性、耐食性がよい。建築用材、カラーアルミ、キャップなど。

A5005P:
3003 と同程度の強度があり、耐食性、溶接性、加工性がよい。建築内外装材、車両内装材など。

A5052P:
中程度の強度をもった代表的な合金で、耐食性、成形性、溶接性がよい。船舶・車両・建築用材、飲料缶など。

A5652P:
5052 の不純物元素を規制して過酸化水素の分解を制御した合金で、その他特性は 5052 と同程度である。過酸化水素容器など。

A5154P:
5052 と 5083 の中程度の強度をもった合金で、耐食性、成形性、溶接性がよい。船舶・車両用材・圧力容器など。

A5254P:
5154 の不純物元素を規制して過酸化水素の分解を制御した合金で、その他特性は 5154 と同程度である。過酸化水素容器など。

A5454P:
5052 より強度が高く、耐食性、成形性、溶接性がよい。自動車用ホイールなど。

A5082P、A5182P:
5083 とほぼ同程度の強度があり、成形性、耐食性がよい。

A5083P、A5083PS:
非熱処理合金中で最荷の強度があり、耐食性、溶接性がよい。船舶・車両用材・低温タンク、圧力容器など。

A5086P:
5154 より強度が高く、耐食性の優れた溶接構造用合金である。船舶用材、圧力容器、磁気ディスクなど。

A5N01P:
3003 とほぼ同程度の強度があり、化学又は電解研磨などの光輝処理後の陽極酸化処理で高い光輝性が得られる。

A6061P:
耐食性が良好で主にボルト・リベット接合の構造用材として用いられる。船舶・車両・陸上構造物など。

A7075P、A7075PC:
アルミニウム合金中最高の強度をもつ合金の一つであるが、合せ板は、表面に7072 をはり合わせ、耐食性を改善したものである。航空機用材、スキーなど。

A7N01P:
強度が高く、耐食性も良好な溶接構造用合金である。車両その他陸上構造物など。

A8021P、A8079P:
1N30 より強度が高く、展延性、耐食性がよい。

備考1. 質別を示す記号は、表の記号の後に付ける。
備考2. A2014PC、A2024PC 及び A7075PC は、合せ板に使用する場あに限る。
備考3. A5083PS は、液化天然ガス貯槽の側板、アニュラープレート及びナックルプレートに使用する場合に限る。


5. 品質


5.1 外観

板、合せ板、条及び円板は、仕上良好・均一で使用上有害な膨れ、きずなどの欠陥があってはならない。表面欠陥の除去は、滑らかに行い、寸法許容差内でなければならない。


5.2 化学成分

板、合せ板(心材・皮材)、条及び円板の化学成分は、表2 による。


5.3 機械的性質

板、条、円板及び合せ板の機械的性質(引張強さ・耐力・伸び・曲げ)は、表3.1 及び 表3.2 による。
ただし、条の厚さは4.5mm以下、円板は厚さ3.5mm以下に適用する。7.3 の曲げ試験を行った場合、板、条及び合せ板の曲げた部分の外側に割れを生じてはならない。
なお、曲げ試験並びに 1085、 1080、 1070、 1050、 1100、 1200、 1N00、 1N30、 3003、 3203、 3004、 3104、 3005、 3105、 5005、 5052 及び 5N01 の耐力は、注文者の要求のあるものに限り適用する。

表2 化学成分(表本体は割愛)

表3.1 板・条及び円板の機械的性質(表本体は割愛)

表3.2 合せ板の機械的性質(表本体は割愛)


6. 寸法及びその許容差


6.1 板の標準寸法

板の標準寸法は、表4 による。

表4 板の標準寸法(省略)


6.2 合せ板の皮材の厚さ

合せ板の皮材の厚さは、表5 による。ただし、皮材の厚さの測定試験は、注文者の要求のあるものに限り適用する。

表5 合せ板の皮材の厚さ(省略)


6.3 板、合せ板、条及び円板の厚さの許容差

板、合せ板、条及び円板の厚さの許容差は、表6.1 〜 表6.4 による。

表6.1 冷間圧延材の厚さの許容差 (単位:mm)(省略)

表6.2 冷間圧延材の厚さの許容差 (単位:mm)(省略)

表6.3 熱間圧延材の厚さの許容差(14) (単位:mm)(省略)

表6.4 熱間圧延材の厚さの許容差(14) (単位:mm)(省略)


6.4 板、合せ板及び条の幅の許容差

板、合せ板及び条の幅の許容差は、表7.1 〜 表7.3 による。

表7.1 板及び合せ板の幅の許容差(シャー切断) (単位:mm)(省略)

表7.2 板及び合せ板の幅の許容差(ソー切断) (単位:mm)(省略)

表7.3 条の幅の許容差 (単位:mm)(省略)


6.5 円板の径の許容差

円板の径の許容差は、表8 による。

表8 円板の径の許容差 (単位:mm)(省略)


6.6 板及び合せ板の長さの許容差

板及び合せ板の長さの許容差は、表9.1 及び 表9.2 による。

表9.1 板及び合せ板の長さの許容差(シャー切断) (単位:mm)(省略)

表9.2 板及び合せ板の長さの許容差(ソー切断) (単位:mm)(省略)


6.7 板及び合せ板の直角度の最大値

板及び合せ板の直角度の(表10 の図中の AA と BB との差)の最大値は、表10 による。ただし、この最大値は、注文者の要求のあるものに限り適用する。

表10 板及び合せ板の直角度の最大値 (単位:mm)(省略)


6.8 板、合せ板及び条の曲がりの最大値

板、合せ板及び条の曲がりの最大値は、表11.1 及び 表11.2 による。ただし、この最大値は、注文者の要求のあるものに限り適用する。

表11.1 板及び合せ板の曲がり(18)の最大値 (単位:mm)(省略)

表11.2 条の曲がり(20)の最大値 (単位:mm)(省略)


6.9 板及び合せ板のひずみの最大値

板及び合せ板のひずみの最大値は、表12.1 〜 表12.4 による。ただし、この最大値は、注文者の要求のあるものに限り適用する。

表12.1 板及び合せ板(21)の長さ方向及び幅方向ひずみの最大値 (単位:mm)(省略)

表12.2 板及び合せ板の長さ方向ひずみの最大値(ソー又はシャー切断) (単位:mm)(省略)

表12.3 板及び合せ板の幅方向ひずみの最大値(ソー又はシャー切断) (単位:mm)(省略)

表12.4 板及び合せ板の小波ひずみ(29)の最大値(ソー又はシャー切断) (単位:mm)(省略)


7.試験


7.1 化学分析

化学分析の分析試験は、JIS H 1305、 JIS H 1306、 JIS H 1307、 JIS H 1352、 JIS H 1353、 JIS H 1354、 JIS H 1355、JIS H 1356、 JIS H 1357、 JIS H 1358、 JIS H 1359、 JIS H 1362、 JIS H 1363 のいずれかによる。
その他の元素の分析試験は、受渡当事者間の協定による。


7.2 引張試験

引張試験は、JIS Z 2241 による。この場合の試験片は JIS Z 2201 の試験片とし、表13 による。
また、試験片の採取方向は、表14 による。

表13 試験片の種類及び採取位置(省略)

表14 試験片の採取方向(省略)


7.3 曲げ試験

曲げ試験は、JIS Z 2248 によって 180°曲げを行う。この場合の試験片は、圧延方向に平行又は直角に採った JIS Z 2204 の3号試験片とする。


7.4 合せ板の皮材の厚さ測定試験

合せ板の皮材の厚さ測定試験は、合せ板の圧延方向に直角の方向から約20mm角の試験片を採り、試験片の板面に垂直な断面を顕微鏡で観察できるように研磨し、更に適当なエッチングを行った後、100倍の倍率の顕微鏡で、試験片の断面の上下両辺に沿って約3mm間隔ずつの五つの視野の皮材の最大及び最小厚さを測定する。
なお、試験片の断面の上下両辺で測定された各10個の皮材の厚さの平均値を皮材の厚さとする。


8. 検査

検査は、次の通り行う。

板、合せ板、条及び円板は、外観・寸法を検査するとともに、7.によって試験を行い、5.及び6.の規定に適合したものを合格とする。
引張試験及び曲げ試験は、種類、質別及び厚さの同じものについて、特に指定がない限り、4000kg又はその端数から一組、若しくは各熱処理ロットを一組の検査ロットとして、一つの試料を採取する。1枚の板又は条が4000kgを超えるものについては、1枚を一組とみなす。
合せ板の皮材の厚さ測定試験は、合金番号、質別及び厚さの同じものから任意に1枚を採り、試験片を作る。
そのほか一般事項は、JIS H 0321 による。


9. 表示

板、合せ板、条及び円板は、1包装ごと、1巻ごと又は1製品ごとに適切な方法によって、次の事項を表示しなければならない。

a.) 種類及び質別、又は種類、等級及び質別、若しくはそれらの記号
例1. 1100-○
例2. 5083・特殊級-○
例3. A1100P-○
例4. A5083PS-○
b.) 寸法
c.) 製造番号又は製造年月
d.) 製造業者名又はその略号






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